『中国カーボンバランス取引フレームワーク研究』情報

『中国カーボンバランス取引フレームワーク研究』北京にて発表

2008/11/06

 

 

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115日、中国環境文化促進会と中国発展戦略学研究会社会戦略専門委員会の主催で北京にて『中国カーボンバランス取引フレームワーク研究』セミナーが行われ、『中国カーボンバランス取引フレームワーク研究』が発表された。今回初めて、「カーボン」という定量分析ができる指標を用い、経済活動に対しモニタリング、識別とコントロールを行う概念が提案され、中国では省単位で「Carbon SourceCarbon Sink」取引制度も提案された。環境保護部副部長、中国環境文化促進会会長潘岳氏がセミナーにて、「高炭素モデルは将来の中国の発展を厳しく制約し、「低炭素社会」は中国の「生態文明建設」*1にとっても重要な突破口となる。」と述べた。

 

「グローバルに気候変動に応対する情勢の中、世界規模で経済と社会の発展において、今まさに大きな変革を経験している。」と潘岳さんは語る。低炭素エネルギー技術を発展させ、低炭素経済発展モデル及び低炭素社会の消費モデルを作りあげ、それを経済発展と気候保護の関係と協調することを基本的な方針としている。これは、世界主要国の気候変動に対応する戦略の重点となる部分である。

この大きなバックグラウンドの下で、中国近代化の過程と平和的に発展する道において、気候変動に対応することの戦略的な定位置を明確にしなければならないし、対外的には発展ポテンシャル、対内的には低炭素経済に移行する国際・国内の情勢と協調を確実にすべきである。

  潘岳さんは、低炭素社会への発展の道を歩むためには、制度を作り出すことは保障となると主張した。「中国カーボンバランス取引フレームワーク」は我々が制定している環境経済政策の重要な構成部分であり、わが国の経済発展とエネルギー・環境との調和問題の解決にとっても積極的な現実的意義があり、わが国の低炭素エネルギー技術の発展や、経済発展パターンの転換、省エネ社会の構築を加速させ、大きく促進する役割を果たすのであろう。

 

 潘岳さんは以下のように指摘した。国内にとって、「高炭素モデル」は中国の将来の経済発展を大きく制約する。

 第一に、中国は現在重工業化の段階にあるが、その重工業を支えるのがエネルギーである。国際的なエネルギー資源が頻繁に大幅な値上がりを起こし、我々がエネルギーを獲得する代価も次第に高くなり、依存度も徐々に高くなる一方、逆にリスクに対応する能力が益々下がっている。この状況は既に経済成長の安定性にひどく影響を及ぼしている。

 第二に、金融危機が全世界を巻き込む今、「炭素排出」は先進国の新しい「緑の壁」になりつつあり、中国の伝統的に優位な商品の輸出を制限している。

 第三に、国際社会からみると、「炭素排出」は今後、重要で国際的な戦略的資源になる。昔、争われるものは土地、石油、石炭、鉱石などであるが、将来は「炭素排出権」の争いになるであろう。現在、中国は国際産業における分業システムの産業チェーンの末端にある。資源とエネルギー密集型商品の輸出比率が比較的に高い。わが国のエネルギー消費は世界総量の四分の一、二酸化炭素排出量は総量の五分の一であり、これは本土産業の将来の発展的なポテンシャルを領有する。

 第四に、社会からみると、高い炭素排出とそれに伴うほかの排出は既にひどい環境汚染を引き起こし、深刻な結果をもたらした。多くの社会調査が示したように、環境汚染は、腐敗、貧困の格差拡大と共に、社会的安定に影響する要因の首位にあがった。「炭素排出」は単純な経済問題だけではなく、政治・社会問題にもなった。

 

 党中央は十七回人民代表大会で、初めて「生態文明建設」という科学理念を生み出し、中国の発展に新たな道を示した。生態文明建設は、生産方式と生活方式の根本的な変化にある。この文明の転換を実現するには、科学発展観を確実に持ち、省エネと環境保護を有利にし、長期的で効果的なメカニズムと政策措置の建設を模索するべきである。低炭素経済は生態文明建設の最有力な突破口である。

 

会議で発表した『中国カーボンバランス取引フレームワーク研究』報告は、中科院首席科学者牛文元教授がリードし、一年以上をかけて完成した研究である。

『中国カーボンバランス取引フレームワーク研究』プロジェクトグループは、全国各省(自治区、直轄市)の「Carbon SourceCarbon Sink」のバランス口座を作るのが、「Carbon SourceCarbon Sink」交易制度を行う前提となるのである。

 

プロジェクトグループは、独立した計算方法を制定し、中国31省(自治区、直轄市)のカーボンバランス状況、つまりカーボンソース量とカーボンシンク量について統計分析をする。それと共に、外部利益から溢れた経済利益を利用し、生態保護区にたいして補償を行う。これは、実際、カーボンソースにおける炭素排出のポテンシャルを稀有な資源にして、カーボンシンクにおける炭素吸収能力を収益手段にして、わが国の区域間のカーボンソースとカーボンシンクの持ち量の差を利用し、カーボン資源を有効に交換することを通じて、合理的な価格を形成させ、生態系の利用を無償から有償へと移行させる。プロジェクトグループが提出した先進国の経験を参考にしたあと、比較的合理的なカーボンバランスモデルの構築は、中国カーボン基金制度と中国生態系補償金制度を建設する基礎である。

 

中国のカーボン基金の受け取りと支払いモデルの設計として、もしある省のカーボンソースの総量がカーボンシンク総量より高い場合は、高い分を比率で現金支払いを実施し、中国のカーボン基金管理委員会に直接支払い、委員会はそれをカーボンシンクの貢献が大きい地区の補償に使ったり、国家のCDM計画の促進に使ったり、省エネ技術改良などに使う。逆に、もしある省のカーボンソース総量がカーボンシンク総量より低い場合は、比例する金額に従ってその省に生態補償を実施し、生態保護を激励し、カーボンシンクを増加させる。設計した交易制度によって、雲南、青海とチベットはカーボンシンク補償金をもらえる以外、ほかの省は全部一定の比率でカーボン基金を上納する。

中国生態補償金の受け取りと支払いモデルは、以下の方法を採用する。計算で得られた全国カーボンソースとカーボンシンクの差をベースラインにして、平均値を超えた省は比率に従い生態補償金を支払う。平均値より低い省は比率に従い生態補償金を受け取る。年度受け取った生態補償金は保存されず、その年に受け取りその年に放出する。これは、各省の生態建設、経済構造の調整や消費方式の転換を促進する。

わが国の「カーボンバランス交易」*2を効率的に実施するには、必ず政府の行政管理能力を強化しなければならないし、有力な組織機構を設立することが必要であると、プロジェクトグループが提言した。カーボンバランス交易グループの設立が必要で、カーボン交易の戦略、企画、低炭素経済発展プロジェクトの開発と管理、カーボン交易の執行企画、及び各省がカーボン交易プロセス中の組織、管理、仲裁と監督を協調し、カーボン交易作業は正常に進行することが確保されるべきと専門家が指摘した。

 

 牛文元教授は、課題グループを代表し、セミナーで『中国カーボンバランス取引フレームワーク研究』について紹介した。清華大学の斉曄教授、北京大学の葉文虎教授、国務院発展研究センター研究員周宏春、中科院地理科学と資源研究所研究員岳天祥、中科院システム科学研究所研究員顧基発などの専門家がセミナーに出席した。国家環境マクロ戦略研究課題グループ専門家、環境部原生態司司長ホウ彭近新がセミナーを主宰した。

                                        

(中国環境文化促進会)

 

 

中国環境保護部サイト

http://www.sepa.gov.cn/hjyw08/200811/t20081106_130915.htm

 

 


*1
「生態系文明」

この言葉は最近中国政府から作られた概念で、人類社会が原始文明、農業文明、工業文  明へて移行した新型文明を指す。「生態系文明」が人間と自然の調和発展を行動原則におき、経済、社会、環境の持続可能な発展を実現させるもの。

 

*2「カーボンバランス交易」
炭素排出ポテンシャルを持つ地域と炭素吸収能力を持つ地域を炭素排出のバランスが取れるように交易をさせること