地球温暖化の要因とされる二酸化炭素の排出量取引で国内の取引価格が急上昇している。原油高を受けて「CO2排出量が多い石炭の消費が世界的に増加する」との観測が強まっているため。価格上昇が続けば、CO2排出量が多く大量買い取りが必要となる企業の収益を圧迫しかねない。
原因は原油価格の高騰。排出量取引で先行する欧州市場では、「原油に比べて安価だがCO2排出量も多い石炭の消費が増えれば、排出量の買い取り需要が高まる」との観測が広がった。欧州の域内取引価格は7月上旬に1トン当たり29ユーロ(約4900円)前後と2月上旬の19ユーロ前後から急伸し、これが日本にも波及した。
政府は今秋から統一市場を試験導入する方針で、導入後に価格がさらに上昇する可能性がある。「排出量の取引が活発化し、買い取り需要が膨らむ」と見られているためだ。大手邦銀の担当者は「これまでは欧州の市場動向に左右されてきたが、今後は日本の国内市場が価格をさらに押し上げる要因になりそうだ」と指摘する。
CO2の排出量が多い電力と鉄鋼の両業界は12年までの5年間で計1億6400万トンの買い取りを想定するが、東京電力柏崎刈羽原発の運転停止などで「2億~3億トンに膨らむ」との見方もある。こうした業界は取引価格高騰で買い取り負担が重くなりかねない。収益への打撃を避けるため、買い取りをできるだけ削減できるよう省エネや再生可能エネルギー開発などの強化が必要になりそうだ。


