中国関連

1月9日8時11分配信 NNA

 中国では、電力不足や原油価格の高騰、深刻化する大気汚染を背景に、電力
供給全体の約8割を占める火力発電への依存体質からの脱却を図る動きが目立
っている。中国政府は、安定供給が可能な原子力発電に加え、ソーラー発電や
風力発電など新エネルギーの比率を高めていく方針を打ち出し、毎年1兆円を
超える規模の巨大投資を2020年まで続けていくという。ただ、安全や管理面で
の問題など“原発大国”に向けた課題はまだまだ大きいようだ。

 電力監管年度報告によると、2006年の中国の発電容量は6億2,200万キロワッ
トで世界2位に達した。ただ、急速な経済成長を背景に電力不足も深刻な問題
として浮上。中国では、石炭や石油を燃料とする火力発電が全体の77.8%を占
めていることから、原油価格の高騰によるコスト高や大気汚染を誘発させてい
るとの指摘も出始めており、早急に新たな電力源の確保が求められているとい
う。
 
 中国政府は第11次5カ年期間(2006~10 年)中のエネルギー開発計画で、石
炭・石油への依存体質からの脱却を示した。昨年は100億米ドル(約1兆
1,000億円)を新エネルギー事業に投入。原子力発電所の建設プロジェクトに
は2020年までに4,500億元(約6兆7,500億円)を投入するといい、地場系をは
じめ、外資系関連企業にとっては追い風となっている。
 
 中国の大手タービン製造会社、金風科技(ゴールドウインド)は06年年、シ
ェアが33%に達し業界トップに浮上。海外でも新エネルギー業界における設備
需要が高いことから、来年にも輸出を開始するといい、急速な成長を続けてい
る。今年の利益は6億元に達する見通しで、国内での上場を目指しているとい
う。
 
 新エネルギー事業と同様に、政府が力を入れている原子力発電は、火力発電
と違い、窒素酸化物(NOx)や硫黄酸化物(SOx)、二酸化炭素(CO2)を排出
しないことから、大気汚染や資源枯渇を防ぐためにも有効的な発電方式とされ
ているが、建設プロジェクトには課題も大きい。
 
 ドイツでは、放射性物質の危険性や事故回避から、03年にはシュターデ原子
力発電所が、05年にオブリヒハイム原子力発電所がそれぞれ閉鎖され、
2020年までにはすべての原子力発電所を稼働停止にするという。原子力発電所
から発生する放射性廃棄物の処理問題に加え、管理の難しさが最大の要因だ。
スウェーデンなど多くの欧州連合(EU)諸国、カナダなど一部の国・地域で
は、すでに原子力を永久的に放棄することを決めている。
 
 ■発電比率1.1から4%に
 
 ただ、中国政府は放射能自動観測拠点を数多く設けるなど、放射能対策を整
えた上で安全に稼働できる体制を整えるという。今後、30カ所以上に原子炉を
建設する計画を打ち出し、昨年末の原発比率(全体の1.1%)を、2020年まで
に4%に拡大し、重要な電力源のひとつに育成する方針だ。
 
 環境問題の専門家は「原子力発電所の運営には高い技術力が要求される。中
国でも今後、管理・運営が課題として持ち上がることが予想される」と指摘す
る。ひとつの事故が、地域住民だけでなく、数十年にわたって生態系にも影響
を及ぼすともいわれていることから、安全対策への取り組みにも注目が集まっ
ている。
 
 一方、国連によると、中国は2012年までに、京都議定書で定められた温室効
果ガスの排出権全体の41%を創出するという。削減率を満たしていない企業や
国・地域では、積極的に中国政府が推進する新エネルギー事業などに参加する
ことで目標達成が可能ともいわれている。経済成長とともに、環境対策に力を
入れ始めた中国と協力することが、近隣諸国である日本にとっても大きな意味
を持つようになってきているといえそうだ。【上海・安藤久史】<全国>