EB45次会議について
呂学都
科学技術部
2009年2月16日
ソース:Clean Development Mechanism in China (原文は中国語)
2009年2月8日~13日、EB45会議がドイツのボン市で開催された。2月8日~10日は非公式会議、11日~13日は公式会議であった。今回の会議では、「前回会議以来審査待ちのプロジェクト」、「前回の会議で Under Review されたプロジェクト」、「国連登録されたが元の計画に沿って実行されず、CERsが発行できるか否かという問題」、「委任委員会と方法論パネルの報告に関する討論」、「承認と承認事項の提出」などについて議論が行われた。スモールプロジェクト方法論パネル及び植林ワーキンググループは、今回の会議前に会議を開いていないため、審議事項を提出していなかった。今回は、審査待ちのプロジェクトが非常に多いため、会議は一日多く設定されたが、結局一部の内容について議論する時間がなく、次回に延期されることとなった。
会議では、オランダ委員Lex de Jongeが主席に、ジャマイカ委員 Clifford Mahlungが副主席に選出された。
以下が会議の主な内容及び重要なポイントのまとめである。
1. DOEの委任
(1).今回の会議では、委任委員会から提出されたDOE委任基準と委任プロセスに重点を置き審査が行われた。一部のメンバーは委任基準に対する要求があまりにも高く、特に申請機構の財務面に対する要求が高いため、一部の修正を求めた。また他のメンバーは、DOEは如何に外部専門家と人材資源を活用するかということに対して異なる意見を持つ。これらの問題によって、委任委員会に対する承認を順調に行うことができなかった。委任プロセスに対しては、メンバーたちの異議はほとんどなかった。しかし、委任基準が承認されなかったため、一部のメンバーは委任プロセスだけを承認することに同意しなかった。会議では、この二件の作業に関して一週間以内に文書上の修正意見を提出することが求められた。次回の会議でこの重要な問題二件をまとめて解決することが望まれる。
(2).今回の会議でもう一つの重要な議題は、前回の審議でEBから処罰を受けた二つのDOEの状況について審議することである。長時間の議論を経て得た結論は、「DNVはDOE資格を取り戻すが、更なる監督が行われる」ということと、「JCIのDOE資格を承認し、この機構に対する調査を中止する。」というものである。EBの決定を受け、DNVとJCIはEB45回会議後すぐにでもDOEのすべての職務を施行できる。ここで、謹んでこの二つの機構に敬意を表す。
(3).今回の会議で、2009年に一度、アジア・太平洋地域、西ヨーロッパ及びラテンアメリカでVVMセミナーを行うことを決めた。各機構がVVMに対する認識と理解を強める目的である。ここで、特にわが国のDOE資格を申請する機構ができるだけ多くの中堅メンバーをこのような育成セミナーに参加させることを推奨する。
2. 方法論の審査
(1).今回の会議で、四つの新しい方法論を承認し、七つの方法論を修正し承認した。関連機構と専門家はぜひこれらの新しい方法論と修正した方法論の応用条件と中国での適用性について細かく研究して頂きたい。
(2).今回の会議で多くの時間を費やし議論されたのが、すでに国連登録されたプロジェクトは、PDDに記載する計画通り実行されず、(例えば発電ユニットの容量が増えたり、プロジェクトに使用される技術が変更された等)、このようなプロジェクトに対して、CERsを継続的に発行すべきかどうかという問題である。会議の日程に従って、この議題にある指針を出すべきであったが、一部の結論に対して皆の意見が一致しないため、次回の会議で引き続き討論することになった。原則として、「それらの感度分析の範囲内の変化」、や「プロジェクトの類型が変わっておらず(例えばスモールプロジェクトの発電ユニット容量が増加してもスモールプロジェクトの範囲内にある等)、追加性が変化しない」などのプロジェクトは承認され、CERs発行を続けて申請できる。
(3).会議では、プロジェクトは更新記入期間において、baselineの更新問題をどうすべきかということについて議論された。「baselineのデータの更新」、「baselineシナリオの更新」をすべきか、また更新するときの国家政策、行政政策、baselineに影響する価格などの要因を中に含めるべきかについて会議で一致せず、次回討論することになった。この問題は、プロジェクトは第二記入期間に依然としてCERsを発行してもらえるかということに大きく影響している。皆さんに、プロジェクト記入期間を考える際に、この問題についてよりよい判断をするため、注意してもらいたい。
(4).会議では、熱と電力施設の効率計算Toolについて議論された。このToolについてはまだたくさんの異なる意見がある。このToolは今後熱電供給のCDMプロジェクトの開発に大きな影響を及ぼすため、関係者、専門家は、このToolを重視し、web上に積極的に自分の修正意見を出してもらいたい。
3. プロジェクト参加者とEBの連絡方式(MOC)
会議では、活発な議論を経て、MOCの方式や関連tableなどが承認された。ここでは、国内プロジェクト事業者、プロジェクト開発機構及びCDMに従事する弁護士に、このMOCを充分重視してもらいたい。でないと、今後、プロジェクト事業者にとって非常に面倒な結果になるかもしれない。簡潔に言うと、このMOCは誰が責任をとってEBと連絡するかということを決めるものである。実はそのコンタクトパーソンこそ、誰をプロジェクトに参加させるかということに大きな権限を持つ。現在、国内ではすでに一部の事業者はこのため面倒な状況に遭っている。教訓をくみ取って重視すべき点である。
4. 我が国のプロジェクトの審査結果
(1).Review requestedプロジェクト
今回Review requestedのプロジェクトは全部で113件であり、そのうち我が国のプロジェク トは100件である。審査した結果、72件はCorrections requestedになり、改めてPDDとValidationレポートを出す必要がある。また、一部のプロジェクトは書類やエビデンスを補充する必要がある(EB報告書に明確に記載されている)。これらの機構及びDOEはこの要求に従い、関係書類やエビデンスをよく準備し、review requestedにならず順調に承認されるように努力して頂きたい。そして28件のプロジェクトがreview requestedになった。この28件の問題は主に以下の通りである。「投資分析(Investment analysis)のデータ及びその変化の分析と確認」、「プロジェクトが如何に持続的にCDMを求めるか及びそのエビデンス」、「水力発電プロジェクトの『有効発電量』及び『有効発電量係数』の選択」、「ベンチマークの選択」、「中国水力発電プロジェクトFSレポートの電力価格低下などに関する問題」などで、プロジェクト事業者及びDOEはEBから正式な通知を受けたあと、5稼働日以内に回答しないといけない。時間は非常に限られているため、関係機関は迅速に回答して欲しい。
(2).Under reviewプロジェクト
前回会議では、17件のプロジェクトがunder reviewされた。中には、我が国のプロジェク ト8件があった。Under reviewされた後、その8件はCorrections requestedになった。インドの1件のプロジェクトはunder reviewを通らず、rejectedされた。
(3).Review requestedを受けたプロジェクト ⇒ Under review のケース
我が国の2件のプロジェクトのうち、1件はMagang CDQプロジェクトで、1件は山西省の炭鉱メタンガス利用プロジェクトである。 前回会議で、review requestedを受けて、Corrections requestedになった。しかし、EBを満足させる追加説明資料を提出できなかったため、再度under reviewになった。従って、再度注意して頂きたいのが、Corrections requestedになったプロジェクトについて、EBが出す要求をきちんと分析し、充分な根拠を提出し、かつ提出物はDOEの確認を得らなければいけないということである。(DOEが確認作業のミスで問題になったこともある。)
(4).Under reviewされたプロジェクト ⇒ Corrections requested のケース
本会議では、Under reviewされたプロジェクトについても討論された。これらのプロジェクトに対して、二つの結論がある。それは「registeredかrejectedか」である。今回、11件の同種のプロジェクトが審査され、中には我が国の9件が含まれる。結果的に、7件がregisteredされて、中には、我が国のCONCH公司の5つのセメント余熱発電プロジェクトも含まれる。これは、CONCH公司が投資分析の基準値としてWACCを使うことをEBが認めたことを意味する。しかし、我が国の山西の4つのコークス製造余熱利用プロジェクトがregistered にならなかった。唯一の問題は、省レベルの機構が発行する業界基準についてDOEがすでに認めたが、EBがそれを認めていないことである。EBはすでに議論したことがあるが、もし、プロジェクト発電の目的がグリットに電力を供給するだけであれば、電力の業界基準値を採用すべきである。企業がグリットから卸す電力は発電量の75%より大きいことを証明できるなら、話は別にある(これについては、私はEB43回会議レポートに述べた)。
(5).CERs発行を申請するプロジェクトのrequested review & under review 状況
本会議では、CERs発行を申請するプロジェクトのrequested reviewが31件あった。中には、我が国のプロジェクトが8件含まれる。審査した結果、21件のプロジェクトが承認され、我が国の8件も全て承認を受けたが、10件のプロジェクトがunder reviewされた。今回の会議では、前回under reviewとされた二つのプロジェクトがCERs発行審査を順調に進め承認を受け、その中には我が国の一件のプロジェクトが含まれる。CERs発行が審査されたプロジェクトの主な問題は、「元のモニタリング計画、或はモニタリング方法論に従って実行されていなかったこと」である。中には、「モニタリング方式」、「頻度」、「計器の校正」又は「0に修正する頻度」などが含まれる。プロジェクト事業者はぜひ厳格にPDD或はモニタリング方法論の規定・要求に基づきモニタリングを実施し、万全な記録とデータ保存を行って欲しい。
5. いくつかの普遍的な問題に関する見解
私は、「個人の理解、及び会議に参加した議論」に基づき、「持続的なCDMのサポート」、「水力発電プロジェクトの『有効発電量』及び『有効発電量係数』」、「中国の水力発電プロジェクトのFSレポートにある電力価格下落問題」などについて以下の意見をまとめた。それらが専門家や専門機構の参考になればと思う。 投資分析のデータやその変化の分析と確認、基準収益率の選定は適合しているかどうかの問題は、以前すでに紹介したため、今回は省略する。
(1) 持続的なCDMのサポート
これはEB41回会議の付属文書46の第5(b)段にある要求である。過去には、あまりこの要求は注目されなかった。現在、この問題に対する一般的な要求事項とは、
a. プロジェクト立ち上げ前にすべての「CDMを考慮する収益」の根拠をリストアップする。
b. プロジェクトが立ち上げられてからDOE現場審査までの間に、プロジェクトがCDMのサポートを求めることに関する全ての活動記録及びエビデンスをリストアップする。
ということである。
中には、「プロジェクトを開発するためにコンサルティングと結んだコンサル契約」、「バイヤーと交渉する売買契約」、「政府にCDMプロジェクトとして承認された資料、またはそのプロセス」などが含まれる。以上の全ての活動の間隔は12ヶ月以内であればEBは何の疑問も持たない。しかし、12ヶ月以上空くと、質疑されるかunder reviewされるかとなってしまう。現在、我が国の多くのプロジェクトがunder reviewになった原因の一つはこの問題で、ある案件では、これが唯一の問題になったこともある。以前、多くの専門家はこの要求を知らず、リストアップしたイベントが不完全であった。そのため、回答する際に、全てのイベントをリストアップした。もし、一部のイベントで必要なエビデンスが足りなかったら、他の提供できる全てのエビデンスを提供すればいい。一部のプロジェクトがすでに何年か経っている場合、エビデンスを収集するのが非常に難しいのであれば、コンサルティング、バイヤーと契約書を結ぶ際に送受信するメールでもいい。つまり、一年以内CDMサポートのイベントがなくてはならなにのである。もし二年以上関連するイベントがない場合は、基本的にこのプロジェクトはrejectされる。実際、EBはこのような理由でプロジェクトをrejectしたことがある。
(2) 水力発電プロジェクトの「有効発電量」及び「有効発電量係数」
a. 回答する前に、まず「有効発電量」の概念を紹介したい。「有効発電量」という概念を使いFSレポートやプロジェクト初期設計レポートを書くのが普通である。あるプロジェクトでは、この概念をわかりやすく紹介している。浩華公司は「有効発電量」及び係数に関する資料をまとめたが、このレポートの最後の添付資料をご参考頂きたい。ここで、特に浩華公司の貢献に感謝したい。
b.プロジェクトを紹介する際に使う「可能発電量」及び「相応の発電機容量」は当地の多年の水文データにより計算したものである。同時に、「発電機容量は最大可能な発電量で設計したか」、それとも「有効発電量で設計したか」を説明するものである。EBメンバーは過去、発電機容量は「有効発電量」で設計したのか、それとも「最大発電量」で設計したのかを質問してきたことがある。
c.もしグリット会社が、具体的な水力発電プロジェクトのグリットにアップする発電量について明確な制限がある場合は、そのような資料を提供するといいエビデンスになる。もし一般規定の資料があれば、それを提供してもいい。
d.検証内容としては、「プロジェクト設計に用いた「有効発電量係数」と『スモール水力発電建設プロジェクト評価規程(SL16-95)』とが符合するかどうか」、「選定した「有効発電量係数」は適合するかどうか保守であるかどうか」、「本流域にすでにある発電所の実際の有効発電状況を利用し、本発電所の有効発電量係数は適合するかどうか」というものになる。或は、「本発電所の実際の状況で仮定した有効発電係数の選択は保守的かまた適合するか」ということも検証できる。
e.中国ではスモールスケール水力発電での発電は直接個人ユーザーに提供できないのが一般的であることも説明すべきである。プロジェクト所在地は独立したグリットが存在するかどうかを説明する必要がある。要するに、もし存在すれば、余分の発電は独立のグリットまた独立のユーザーに提供する可能性がある。グリット会社がプロジェクトの発電を受けない期間内は、「プロジェクトは発電したかどうか、「水を放棄したかどうか」、「もし発電したのであれば、その電力はどこに輸送したか、つまりグリットにアップしなかったらどこに輸送したか」について関心が置かれる。
特に注意すべきなのが、多くのプロジェクトの英文翻訳が出来ていないことである。例えば、「有効発電量」と実際にグリットにアップした発電量の差別を、「power loss」と訳す。これは電線ロスとすれば理解できるが、「有効発電量」の概念を解釈する時には分かり難くさせる可能性がある。つまり、ほとんどのEBメンバーは、「プロジェクトが発電したが、どこに輸送したか、どこに損失したかについてよくわからない」という。前回のEB会議でrejectedされた中国のある水力発電プロジェクト(1804、合江県のある水力発電プロジェクト)の主要な問題も、「有効発電量」と実際グリットに送った発電量の差を分かるようにはっきり説明できなかったのが原因で、非常に残念なことである。今からみれば、そのプロジェクトは登録される可能性もあった。しかし、前回のEB会議の決定はプロジェクト事業者及びDOEの解釈が不明確だったため、EBには間違った理解を導き、rejectedされる結果となった。
(3) 「中国水力発電プロジェクトのFSレポートにある電力価格下落問題」
最近、わが国のいくつかの水力発電プロジェクトが審査され、その共通の原因が「投資分析の経済データの大部分がプロジェクトのFSレポートから用いられたが、電力価格だけが除かれた」ということにある。且つ、採用された電力価格はFSレポートに明記された価格より低かった(かなり低くなったプロジェクトもある)。EBは、これが「E+政策」と関連するかについて解釈を求めた(E+政策とは、温室効果ガスを多く排出することを奨励する政策のこと)。もし、本来のFSレポートの電力価格で計算すると、プロジェクトのIRRはベンチマークに達する。しかし、電力価格が下落した後、ベンチマークを達成できなくなる。従って、CDMのサポートを探り、プロジェクトが経済上実行出来るようにさせる。このようなプロジェクトがたくさんあったため、皆が「中国政府はCDMのサポートを獲得できるため、電力価格を下落させる政策をとったのか?」という疑問を持ち、「E+政策」を質問した。
私はEB内部会議で自分の知識と知りえる状況に基づいて解釈した。中国でFSレポートを作成する機構は、FSレポートを作成する際、グリットに送る発電量の価格は確定したものではなく、プロジェクト事業者とグリット会社が交渉した後に政府から承認されて始めて価格が確定される。しかし、FSレポート作成機構はFSレポートを作成する際、プロジェクトが経済上に実行性があるために、いつも逆算して達すべき電力価格を得る。この価格に達しないと、プロジェクトは実行できない。FSレポートで仮定した価格は、しばしばプロジェクトで獲得できる価格より大きい。これが中国の多くのプロジェクトの実情である。発電会社はグリット会社と平等に価格交渉を行うことは絶対になく、グリット会社はいつも非常に有利な立場で交渉を行う。だから、プロジェクトは基本的にFSレポートに仮定した価格をもらえることは不可能である。しかし、もしFSレポートの価格に達しないと、他の経済パラメーターは基本的に一致している状況で、プロジェクトは経済上に実行できない。解釈した後、EBメンバーと技術審議専門家はこの問題に対してよりよい理解を得たが、事業者とDOEがはっきり解釈させ、関連エビデンスも提供してもらいたい。そして、事業者とDOEはこの問題についてしっかり研究し、みんなに納得できる解釈を出し、関連エビデンスも提供すべきであると考える。
6. EBの審査プロジェクトに対する決定
Requested for reviewにしてもunder reviewにしても、登録審査にしても、CERs発行申請にしても、EB審査後に出た決定は、一般的に三つに分けることができる。
1、同意(直接登録或は発行)
2、条件付同意(登録或は発行)
3、不同意(rejecet或はunder review)
である。
さらに条件付同意も三つに分けることができる。
①、追加の要求がない、条件付同意
このような状況は、事業者とDOEに対して審査に回答した際に提供した情報や書類及びエビデンスを、修正後のPDD及びValidation reportに追加すれば、EBセクレタリアットの確認とEB主席の承認を得た後で登録あるいは発行ができる
②、追加の要求がある条件付同意
このような状況は、EBの決定毎に追加の情報を提示することが求められる。例えば
additional information, further substantiation, further substantiateなどである。事業者とDOEが要求された追加情報を提示し、EBセクレタリアットと主席に確認された後、要求を満たしたら登録或は発行できる
③、追加の要求があり、条件付同意と同様で、
EBの決定として②と同じ追加情報を求められるケース
このような場合、プロジェクトが追加的であるかどうかは非常に重要なポイントになるが、
このような状況は、プロジェクトが新たにEB会議で審査を受け承認されることになる。例えば、本会議で5つのCOHCNプロジェクトと山西の4つのコークス余熱利用プロジェクトがそうである。EBの決定をぜひしっかり分析し、正確に回答して頂きたい。