大臣宣言には二酸化炭素(CO2)の排出量が少ない自動車の技術などといった先進国のノウハウを生かし、発展途上国の交通分野での環境負荷を軽減することなど、交通分野の温暖化防止に向けた今後の対応策を盛り込む。ただ世界全体のCO2削減ルールを定める「ポスト京都議定書」がまとまっていないため、大臣宣言では交通分野でのCO2削減目標を具体的に明示するところまで踏み込めない見通しだ。
同研究所は、国内の温室効果ガス排出量の大半を占める石油など化石燃料の使用による「エネルギー起源CO2」の排出量を、独自の予測に基づいて推計。
08年度は実質GDP(国内総生産)成長率を前年度比1%減と推定し、CO2排出量は11億7200万トンとなり、過去最大の排出量だった07年度(12億1800万トン)より3・8%減るとした。09年度も景気低迷が続き、実質GDP成長率は前年度比0・9%減と見積もり、CO2排出量は10億9000万トン、07年度より10・5%減ると予測した。
京都議定書では、日本は08~12年度の温室効果ガスの年間排出量を90年度比で平均6%減らさなければならないが、07年度のエネルギー起源CO2排出量は90年度比15%も増えており、同研究所の予測が的中しても、09年度は同2・9%増にとどまる。
成長を担ったのは太陽エネルギー関連の投資で、総投資額の40%で、中でも薄膜型太陽電池への投資が多く、NanoSolarが3億ドル、Solyndraが2億1900万ドル、SoloPowerが2億ドルと投資額上位3件を独占した。
Cleantech GroupのシニアリサーチディレクターBrian Fan氏は声明で次のように述べている。
2008年にクリーン技術に投資されたベンチャー投資資金のうち40%は太陽エネルギー関連だった。薄膜型太陽電池、集光型太陽熱発電、太陽エネルギーサービスを提供する企業に対する大型投資が、その主因だ。投資家は、引き続き、第1世代のエタノールやバイオディーゼル技術から次世代バイオ燃料へと関心を移しており、とりわけ藻類と合成生物学を扱う企業が注目されている、そのほか、投資家の興味を多く集めた分野としては、スマートグリッド、小規模風力発電、廃プラスチックの再利用、グリーンビルディング、農業技術などがある。
分野別ではすでに述べたとおり、1位は太陽エネルギー分野。これに続いたのは、エタノール、バイオディーゼル、合成生物学、藻類などのバイオ燃料分野(11%)。そして、3番手には、電気自動車、先進バッテリー、燃料電池などのメーカーを含む運送関連分野(9.5%)が続く。
国別では、米国に本拠を置く企業が最も多く、明らかになっているものだけでも241件、58億ドル。増加率でも最大で、対前年比58%増。次いで、欧州とイスラエルの企業が146件で、47%増の18億ドル。
中国企業は18件で、22%増の4億3000万ドル。インド企業は14件で、20%増の2億7700万ドルだった。
発表によると、環境技術系ベンチャーへの投資は年間では増加したが、第4四半期(速報値)は対前年比でも対前期比でも低下したという。
京都議定書に続く2013年以降の温室効果ガス排出削減の枠組み作りは、今年12月の交渉期限を控えて国際交渉が大詰めを迎える。先進国が20~30年までにどれだけ減らすかを示す中期目標を相次いで明らかにする中、日本も昨秋、「中期目標検討委員会」(座長・福井俊彦前日銀総裁)を設置して検討を本格化。しかし、高い目標が必要とする「環境派」と、経済活動への影響を心配する「経済派」との意見の隔たりが大きく、着地点は見えていない。
◆対立の構図
先月18日、内閣府地下講堂で開かれた第2回検討委員会。経済産業省所管の財団法人「地球環境産業技術研究機構」の茅陽一
「25~40%」というのは、世界中の科学者でつくる「気候変動に関する政府間パネル(IPCC)」が07年、温暖化の影響を低減するための最も厳しいシナリオの一つとして示した「20年までに先進国で1990年比で25~40%削減」の事を指す。茅氏は「IPCCでも詳しく検討されたわけでなく、かなり特殊な条件設定で求められたもの」とも指摘し、25~40%を軸に日本の中期目標を決めることに疑問を呈した。
これに対し、環境省所管の財団法人「地球環境戦略研究機関」の浜中裕徳理事長は「今後の交渉で考慮される可能性が十分ある25~40%を選択肢の検討で考慮すべきだ」と力説した。
最終的に数値目標を決めるのは政府で、委員会の役割は中期目標の選択肢を示すにとどまるため、望ましい数値をずばり指摘する場面はない。しかし、2人の主張の違いは、「25~40%という大幅削減は、上院の同意を得るのが難しい米国の次期枠組みへの参加を困難にしかねない」とする経産省と、「25~40%は科学的知見が求める削減幅」とする環境省との対立の構図と重なる。背景には、エネルギーの安定供給を通じて経済成長を持続させたい経産省と、二酸化炭素(CO2)排出量の多い化石燃料への課税強化などを通じて温暖化対策を進めたい環境省という、両省の立場の違いがある。
結局、この日の議論で各委員が挙げた選択肢は0%から40%まで大きくばらついた。
昨年11月の第1回委員会では、委員から「環境派はより現実的に、エネルギー派(=経済派)はより理想的な形で議論をするという認識の共有化も重要」と、両派の違いを乗り越える必要性を指摘する意見も出ていたが、現時点で折り合えるめどは立っていない。委員会は今後4~5回開催し、削減のための投資費用や経済への影響などについても検討する。
政府が中期目標を設定する時期は未定だが、3月末からドイツ・ボンで開かれる国連の特別作業部会では、先進国全体でどのくらい削減すべきかが議論される。斉藤環境相は「日本がリーダーシップを発揮するための中期目標を作る必要がある」として、「3月末までに何らかの方向性は出す」との考えを示している。
◆京都の反省
今回、中期目標の検討にあたって政府は、委員会の議論や議事録を公開し、国民のアンケートも実施するとした。京都議定書を採択した97年の京都会議に向けた中期目標の策定では、当時の通産省と環境庁など関係省庁が対立し、政府部内で折衝を繰り返したが、「密室協議」との批判を浴びた。政府関係者は「産業界を中心に『京都議定書は、日本だけが厳しい目標をのまされた不平等条約』との批判が依然根強い。今回は出来る限りオープンな形で進める」としている。
しかし、委員会では、目標とする数値達成のためにどんな政策が必要かについてはほとんど議論しておらず、これについて「具体的な打つべき政策と経済効果を示さなければ、中期目標は絵に描いたモチになりかねない」(西岡秀三・国立環境研究所特別客員研究員)との指摘も出た。京都議定書の国際交渉で、日本は6%の削減義務が決まった後、慌てて目標達成のための政策を立てたが、その結果、「関係省庁の予算獲得が目的としか思えない効果の疑わしい政策も目立った」(西岡氏)というのだ。
環境技術に詳しい安井至・国連大学名誉副学長は「数値目標を示す以前に、日本の環境技術を無償提供し、その見返りに排出枠を得られる仕組みの提案など、日本が国益を保つための具体的な交渉カードの準備が重要ではないか。政策なく丸腰で交渉に臨めば、不利な条件の数値を受け入れざるを得なくなる恐れがある」と指摘している。
二酸化炭素回収・貯留(CCS)技術の実証に向けた本格的な調査が年度内に始まる。08年度補正予算に盛り込まれた10億円を活用、石油やエンジニアリング、重機械といった関連産業が参画する見込みだ。日本の沿岸部で適地とみられる4地点を対象とし、CCSプラントの概念設計や各種現地調査に乗り出す。09年度中に技術的な総合評価を行い、実証試験での課題抽出や事業計画素案づくりを目指す。
CCS実証に向けた調査事業は経済産業省が民間へ委託。受託企業が中心となって対象地点を決める。太平洋沿岸、日本海沿岸、北海道沿岸、西日本沿岸の4地域からそれぞれ適地が選ばれる見通し。
調査事業では火力発電所の排ガスから回収したCO2を地中へ埋めるまでの配管敷設調査やCO2分離回収装置の概念設計を行う。調査用井戸を掘削する資機材整備、掘削調査準備、地震探査調査にも取り組む。
それぞれの調査事業を選定した4地点に割り当て、実証試験を視野に入れながら調査を進めていく。参画する企業は決まっていないものの、帝国石油や三菱重工業、日揮などが有望視されている。
CCS技術は温暖化対策に有効な手段だといわれており、09年12月に開かれた国連の気候変動枠組み条約第14回締約国会議(COP14)でも議題に上った。欧州やオーストラリアなど複数の実証試験が計画されるなど世界で導入機運が高まっている。日本でも、経産省がCCS実証に向けた研究会を立ち上げ、CCSを導入する際の法的枠組みなどについて検討を進めている。
同構想は「緑の経済と社会の変革」をキャッチフレーズに、環境分野に投資する企業に対する無利子融資制度の創設のほか、省エネ家電や電気自動車など次世代自動車の購入を促す施策の拡充、省エネ住宅の新たな普及策などを想定。
街灯など商店街で使う電力に再生可能エネルギーを充てることや、複数の人が1台の車を共同利用する「カーシェアリング」への支援策、自治体庁舎への太陽光発電導入推進策なども検討対象で、具体策の検討に際しては、インターネットなどを通じて国民からアイデアを募る予定。
民主党も同様に地球温暖化対策に関連した産業で約250万人の雇用を目指す「緑の内需」構想の検討を始めている。