EB 第41回会議 レポート
今回のEB41 会議では、審査を受けるプロジェクトは中国のものが最多である。初回審査プロジェクトは22件、再審査プロジェクトは7件、発行初審査プロジェクトは2件である。また、条件付の登録プロジェクトについて再度審査が要求された。政策面では、今回の会議では、検証と認証、プロジェクトの開始時間の定義(プロジェクト審査に与える影響大)、プロジェクト開始前に、「真剣にCDMの収益を考慮した」というエビデンス、プロジェクト関係者の連絡方法、方法論、DOEの委任問題等について議論された。
【 主 要 議 題 】
1、 「プロジェクト開始時期」の定義
本会議では新たにプロジェクトの開始時期の定義に関し議論がなされた。その定義とは、「プロジェクトにおいて実質的な行動(投資等)がとられた状態」を「開始」という。例えば、設備購入協議、工事契約など,これらの行動のうちで最も早い時期を基準とする。プロジェクト開始前の費用、例えば、FS調査などは全て投資分析コストに入れることができる。この新しい定義は、プロジェクトの事実確認プロセスや、PDD開発などもっと便利に実行でき、非常に役立つだろう。
2、 工事再開時におけるプロジェクトの投資分析の計算方法
プロジェクト工事を開始する際にCDM収益を考慮せず、その後様々な原因によって工事を停止するようなケースにおいて、その後CDM収益を考慮し工事再開するようなプロジェクトについては、その開始時期を、「CDM収益を考慮した後、工事を再開する時期」とする。それ以前に発生する費用は、投資分析コストに入らない。ただし、プロジェクトが既に投資され、有形資産になった場合は、公認の専門家によって評価され、具体的な価値が付けられ、この部分の価値は投資分析コストに入れることができる。この決定は中国の一部の同種のプロジェクトを救ったであろう。
3、 「CDM収益の考慮」を証明するエビデンス
2008年9月1日から開始するプロジェクトは新プロジェクト、その前に開始したプロジェクトは当面のプロジェクトと見なす。新プロジェクトに対して、事業者は必ず工事開始後6ヶ月以内にそのプロジェクトをCDMプロジェクトとみなすことを、その国のDNAあるいはUNFCCC事務局に通告しなければなりない。この通告が、「プロジェクト開始前にCDM収益が考慮され、プロジェクトがスタートした」旨のエビデンスとなる。DOEはプロジェクトを審査する際に、DNAとUNFCCC事務局にこのエビデンスを確認する必要がある。当面のプロジェクトについては、二つのエビデンスが必要である。ひとつは「プロジェクト事業者がプロジェクトをCDMプロジェクトにする決定を出した理事会会議紀要あるいは類似ファイル」で、もう一つは、「事業者とCDM開発者間で結ばれたCDM(コンサルタント)サービス契約、あるいはCER売買契約などの類似ファイル」である。この決定は、今まで事業者、CDM開発者及びDOEがずっと議論してきた問題―『プロジェクト前にCDM収益をいかに考慮し、問題を完全に解決できるだろうか。』―という議論であり、であるならば、プロジェクトの開発と審査などのプロセスをスムーズにすることで促進ができるだろう。
4、 UNFCCC事務局及びDOEによる、プロジェクト審査期間の長期化
審査した結果、事務局のコンプリートネス・チェックに関するワークタイム表が通った。こうすると事務局の仕事を引き延ばす問題を根本的に改善できるだろう。現在、事務局はプロジェクト登録料納入後30working days以内に登録のコンプリートネス・チェックを終えねばならない。また、DOEの意見提出時間に関する問題について会議で議論された。DOEと対話する際、まずDOE自身がタイム表を決めることが要求された。DOE自身がタイム表を作らない場合は、EBはタイム表を規定する。これはDOE審査のスピードを大きく促進するだろう。
5、 検証と認証メニュー(VVM)
このメニューは検証・認証段階のプロジェクトに大きな影響を及ぼし、検証と認証のスピードアップにもつながるだろう。非常に複雑で、今回3分の1しか討論できず、次回会議中に討論を終え、その結果を公布・執行する予定である。
6、 他の重要な論点
(1)「EBメンバーの行動規範」、(2)「EBメンバーの特権及び免除」、(3)「現在方法論AM0001での、HFC23排除率0.5の問題」、(4)「プロジェクト関係者とEBの間の連絡方法」などがある。
(1)、「EBメンバーの行動規範」は次の会議で引き続き討論される。
(2)、「EBメンバーの特権と免除問題」については、問題が解決できず、メンバーたちがプロジェクトに不利な決定を下す時には、関連機関に訴えられることを恐れている。従ってメンバーの多くは国連職員のような特権や免除をといった権利を要求している。しかし、この問題はすぐには解決できるものではない。
(3)、「現在方法論AM0001での、HFC23排除率0.5の問題」。あるNGOがEBに手紙を出し、AM0001方法論の中のHFC23の排除率を現在の最も高い3%から0.5%に減らすべきだと要求した。しかし、EBはこれに対して激しい議論を交わし、最後にはエビデンス不足を理由に、「もしこの排除率を減らすべきエビデンスがあれば、EBに提供しなさい」との返答をした。この問題は中国のHFC23プロジェクトに大きな影響が及ぼすことになるだろう。
(4)、「関係者の連絡方法」については、国内の多くの機関や企業は重視していない。
ところが、この問題は非常に重要であり、上手く処理できなければ多国間訴訟を引き起こす可能性が高くなる。一部のプロジェクトが既にこのような問題を起こしEBは次回の会議では具体的な指針を出すのであろう。
7、5つのDOEが事業開始一年以内のプロジェクトしか審査しない問題
DOEと対話し、EB内部にて討論がなされた際、この問題に対して皆強く反対を示し、DOEのこの誤ったやり方を改善することが要求された。EBの最終レポートには、いくつかのDOEのこのようなやり方に非常に注目し、DOEにCDMを実行する規則を制定する権利を有するのはEBだけであり、DOEはEBが制定した規則を実行するだけで、自ら規則を制定することはできないとの考えが示された。この決定はEBから5つのDOEに対する正式的な回答であり、結果、これらのDOEたちのやり方に対して同意しないということが明らかになった。
8、中国プロジェクトの審査結果
(1) 登録初審査のプロジェクト:
22件の登録初審査プロジェクトの中、6件のプロジェクトは条件付きの登録となった。この6件のプロジェクトは新たに関連ファイルを提出する必要がある。関連する機関及びそのDOEはファイルを提出しないと、再審査になる可能性が高い。
そのほかの16件のプロジェクトは再審査になった。その理由として主に3種類の問題がある。
一つ目はACM0004方法論のベースラインを限定する時、プロジェクト周期内では固定電力価格だけを考慮している。再審査では、その固定電力価額は合理的かどうか、もし、将来の電力価額が予測できない場合でも、その理由を説明する必要がある。実際、Mr. Xuedu Luが何度も求めた結果、EBは、「電力価格が変化する状況の下で電力を購入するシナリオを分析し、プロジェクトシナリオと関連する要因(例えば、管理と運営コスト)も変化する状況の下で、二つのシナリオの現在価値(NPV)の比較関係が依然として変わらないということが証明できれば、グリットから電力を購入するのがベースラインであるという結論が成立する。」とした。
二つ目は電力業界の基準値ではなく、化学工業あるいはセメント工業などの内部収益率基準値を標準基準値とする。この問題は、PPとDOEからもっと詳しい説明を受ける必要がある。これは政府指導ファイルにある規定であり、広く適用される。銀行などの部門もこれによってお金を貸し付けるかどうかを判断する。エビデンスと説明は詳しければ詳しいほどよい。もし、政府部門や銀行部門など権威ある部門のエビデンスがあれば、最も理想的と言えよう。
三つ目は、余熱、余圧、廃ガスなどの価格確定の合理性、企業内部収益率を基準収益率にする信頼性、バリア分析の説得力が弱いなどである。関連する機関はこれらの問題を迅速に回答するとともに、十分、且つ信頼性があり、さらにエビデンスと一致する説明が必要である。
(2) 再審査プロジェクト状況:
全部で7件の再審査プロジェクトがある。「事業開始、停止、再開」の費用を計算する問題を解決できたため、中国の3つの水力発電プロジェクトは条件付登録となった。条件としては、新しい指針で事業開始前の費用を新たに計算する。それから、プロジェクトの内部収益率は基準収益率を下回るかを計算する。そのほかに、いくつかACM0004方法論に関わる二種類の違うベースラインシナリオで将来の電力価格、運行価格などが変化するとき、ベースラインの選択が変化するか否かの論点であり、これは、(1)に説明した内容と同一である。この7つのプロジェクトは条件付登録が出来たが、最後一回のチャンスしかなく、もし、EBへの回答が完璧でなかったら却下される結果になるしかない。だからこそ、PPとDOEはこの唯一の機会を十分に重要視しなければならない。12週以内に回答すればいいため、充分な準備時間があるだろう。
(3) 発行審査:
二つの発行審査プロジェクトが承認をもらった。特に注意すべきなのが、ある国ではすでに批准したモニタリング計画にそってモニタリングしていない例がみられる。例えば、発電量のモニタリング頻度を勝手に変更し(毎時間から毎日に)、メーターに対するモニタリングも要求に沿っていない(毎年一回から六年一回に)などといったことである。EBはこのような行為が見受けられるプロジェクトが獲得した排出削減量を大幅に減らす、或いは発行を拒否することさえ有り得る。
(4) 初審査条件付後に再審査に入るプロジェクト
今回の会議では、3件の過去に承認を受けた条件付プロジェクトが再審査を受けた。中には、中国江蘇のプロジェクトも含まれる。このプロジェクトの主要な問題も、上で述べたACM0004方法論に関わる二種類のベースラインシナリオの比較問題が含まれる。
このような結果を手に入れるのは生易しいことではない。いくつかのプロジェクト審査に関する重要な問題は明確な指針が出されて、実行するのも便利になるであろう。指針を討論するプロセスは困難であり、再開するプロジェクトの費用の計算問題、プロジェクト開始の定義、及び「真剣にCDM収益を考慮する」有効なエビデンスなど。7つの再審査プロジェクトの通過も容易ものではない。