2008年9月

 発電時に温室効果ガスの二酸化炭素を大量に排出する石炭火力発電所について、環境省は今後、排出量を大幅削減する対策を併用しない新設計画には反対する方針を固めた。同規模の天然ガス火力発電に比べて排出量が2倍以上になる点を問題視し、環境影響評価の手続きを通じて強い姿勢で臨む。

 出力15万キロワット以上の火力発電所は国の環境アセスの対象で、CO2排出量も審査項目の一つ。経済産業相が了承する前に環境相が意見を述べる仕組みで、環境相の意見に反する事業が実施された例は過去にない。

 12年の稼働を目指して計画している出力計40万キロワットの小名浜火力発電所(仮称、福島県いわき市)についてもこの方針を適用する。

 斉藤鉄夫環境相は26日の会見で「排出抑制が大きな課題なのに、国民に受け入れられない」と反対する考えを表明。一方で、排出量を抑制できる「石炭ガス化複合発電(IGCC)」などの新技術を用いれば容認することを示唆した。

毎日新聞

 政府は29日までに、地球温暖化対策の次期枠組みについての新提案をまとめた。京都議定書で温室効果ガス削減義務を課されていない途上国のうち、経済発展が進んだり、温室効果ガス排出量が多かったりする国については、削減義務を課される「新興国」や「先進国」の分類に移行させる仕組みを求めた。途上国「卒業」の判断指標として、1人当たりの国内総生産(GDP)や同排出量などを例示している。
 新提案は12月にポーランドで開かれる国連気候変動枠組み条約第14回締約国会議(COP14)で議論される。
 現行の京都議定書では、「先進国」と「途上国」とに2分類され、排出量が多い中国やインドも「途上国」として削減義務がない。ポスト京都では、「先進国」「新興国」「途上国」に3分類。その上で、先進国にはこれまで通り排出量の削減義務を課し、新興国には新たにエネルギー効率目標の達成を義務付ける。

時事通信

 斉藤鉄夫環境相は25日未明の初閣議後の記者会見にて、地球温暖化防止に向け政府全体で試行する二酸化炭素の排出量取引制度に参加する企業の募集を10月1日から始める方針を明らかにした。斉藤氏は「1、2カ月で参加企業が明確になり、11-12月にスタートできると思う」と述べた。

共同通信

政府は23日、チェコから京都議定書に基づく温暖化ガスの排出枠を購入するため、プラハで同国政府との覚書に署名した。チェコは日本が支払う排出枠の代金を温暖化ガス排出削減や、その他の環境対策に使用する。既に日本企業はチェコで温暖化ガスの削減事業などを実施しているが、政府間で協力する枠組みが整った。

 日本は京都議定書で、2008 - 12年度の温暖化ガス排出量を1990年度比で6%削減することが義務付けられ、うち1.6%分は海外から排出枠を取得する計画。チェコからの購入分はその一部に充てる。購入する排出枠の量や価格など詳細は今後詰める。

日本経済新聞

 2013年以降のポスト京都議定書の枠組みづくりに向け、年末に開かれる国連の会議(COP14)で日本政府が打ち出す提案内容が明らかになった。温暖化ガスの排出が急増する中・印などを念頭に、省エネ目標の設定を新興国に義務づけるのが柱。資金力のない途上国には目標を設けず、こうした国が被る温暖化影響を抑える基金の創設も提唱する。各国が受け入れやすい提案を示し全世界参加の枠組みを目指す。COP14は12月にポーランドで開かれる。政府は提案を月内にも条約事務局に提出する。

日本経済新聞

 政府は「地球温暖化問題に関する懇談会」の政策手法分科会を開き、10月中に試験的実施を目指している国内排出量取引制度について17日、議論した。

 分科会に提出された政府の原案では、温室効果ガスの削減目標については参加する企業が自主的に設定することを認めるほか、削減目標は「排出量」だけでなく、生産量など一定の経済活動あたりの排出量である「排出原単位」も認め、削減目標の過不足分を売買する制度を創設する。政府は、分科会での議論をもとに詳細を詰め10月中の参加企業の募集を開始する予定。

 日本の産業界は、2008年度からスタートした京都議定書の削減期間において、日本経団連を中心に取りまとめた「自主行動計画」を策定してガス削減に取り組んでいる。これに対し、排出量取引制度で先行したEU(欧州連合)は、政府が工場など企業の各施設に排出上限を割り当て排出削減を求めている。国内の産業界では鉄鋼や電力を中心に、政府が強制力をもって企業に排出量の上限を定めることは、企業活動の制約につながると強硬に反対している。政府の原案は、企業に排出量取引制度への参加を促す狙いで、自主的な削減目標や排出原単位の容認など企業側に配慮した内容を取り入れた。取引への参加は企業の自主的な判断に委ね、10月に試行実施される同取引制度が将来の排出量取引制度導入を前提にしたものではないことも明記した。

 政府の原案は、排出原単位削減の目標を選択した企業がこれを達成すれば、1)事前に定めた見込み生産量、2)事後に確定した生産量にそれぞれ応じて外部に売却可能な排出枠を得ることができる選択肢を示した。分科会委員として参加した日本鉄鋼連盟環境・エネルギー政策委員会の関澤秀哲・委員長(新日本製鉄副社長)は「活動量(生産量)を事業者は事前に約束することは不可能。マネーゲームを排除する観点からいずれかの選択ではなく、原単位に目標年度の活動実績を乗じて事後的に清算すべき」と主張した。

 また、原案は排出枠を実際に取引する期間については、1)排出削減の目標年度が終了する以前にも取引を実施可能とする、2)目標年度の実績を踏まえ過不足分を売買するとの選択肢を用意した。分科会委員の大塚直・早大大学院法務研究科教授は、「排出量取引は自分で排出削減するか、排出枠を購入するかどちらが安いかを選ぶのが本来の目的。事後取引ではそれができなくなる」と述べ、期間中の取引を認めるべきと指摘した。

 このほか、1)京都議定書で認められた制度で、先進国が途上国で温室効果ガス削減に取り組む「クリーン開発メカニズム(CDM)」、2)大企業が中小企業の削減支援する「国内CDM制度」、3)環境省が運営する「自主参加型国内排出量取引制度」の排出枠を売買や自主的な削減目標に充当することを認めるとしている。

ロイター

 政府が10月から始める温暖化ガスの国内排出量取引実験の骨格が固まった。企業間の排出枠の売買を円滑に進めるため、商社や金融機関などが取引を仲介することを認める。企業は実験に参加するかどうかも削減目標も自主的に決める。目標を上回って温暖化ガスを削減できた企業は余剰分を市場で売却し、目標に届かなかった企業は市場価格で排出枠を買い取り、不足分を穴埋めする仕組みとする。17日に開く福田康夫首相直轄の「地球温暖化問題に関する懇談会」の分科会に提示する。産業界と細部の調整をしたうえで、10月中に参加企業の募集を始める計画。政府は実効性のある制度にするため、できるだけ多くの企業の参加を目指す。排出量取引の実験への参加は原則、企業ごとにして、業界団体での参加は認めない。

日本経済新聞

番号

プロジェクト

タイプ

進捗

年間削減量

(tCO2e

1

天然ガス

日中政府承認済

国連登録済

59

2

製鉄省エネ

日中政府承認済

国連登録済

200812月中にCER移転見込

 

33

 

3

製鉄省エネ

日中政府承認済

登録費用支払済

20089月中に登録見込

13

4

製鉄省エネ

日中政府承認済

登録費用支払済

5

5

セメント

省エネ

 

日中政府承認済

Final report待ち

 

10

6

風力

日中政府承認済

登録費用支払済

10

7

製鉄省エネ

日中政府承認済

Final report待ち

10

8

製鉄省エネ

日中政府承認済

Final report待ち

4

9

水力発電

 

日中政府承認済

登録済

3

10

水力発電

日中政府承認済

登録費用支払済

6

11

水力発電

日中政府承認済

登録済

2

12

水力発電

日中政府承認済

登録費用支払済

6

13

水力発電

日中政府承認済

3

14

水力発電

中国、投資国政府承認済

登録費用支払済

5

15

燃料転換

日中政府承認済

バリデーション

16

16

セメント

省エネ

日中政府承認済

登録費用支払済

29

17

セメント

省エネ

日中政府承認済

登録費用支払済

27

18

製鉄省エネ

中国政府承認済、

日本政府承認待ち

200810月中に登録申請予定

20

19

メタン回避

中国政府承認済、

日本政府承認待ち

200810月中に登録申請予定

5

20

水力発電

中国政府承認済

バリデーション完了、

投資国LOA待ち、

200810月中に登録申請予定

7

21

水力発電

中国政府承認済

バリデーション完了、

投資国LOA待ち、

200810月中に登録申請予定

7

22

メタン回避

日中政府承認済

20089月中に登録申請予定

33

23

水力発電

中国政府承認済、

日本政府承認待ち

バリデーション中

4

24

水力発電

中国政府承認済、

日本政府承認待ち

バリデーション中

5

25

水力発電

中国政府承認済、

バリデーション中

10

26

セメント

省エネ

中国政府承認済、

日本政府承認待ち

バリデーション中

3

27

セメント

省エネ

中国政府承認済、

日本政府承認待ち

バリデーション中

5

 政府は9日、地球温暖化に関する関係閣僚会議を開き、温暖化ガスの国内排出量取引の実験について当初の予定通り10月から始めることを確認した。排出枠の取得手段を多様化することなどの制度の大枠も了承した。今後、排出枠の信頼性を確保するための認証制度を整備する。月内に実験の詳細を固め、10月から参加企業の募集を始める計画。

 会議には福田康夫首相のほか、二階俊博経済産業相、斉藤鉄夫環境相など関係閣僚が出席。国内排出量取引制度の実験は、福田首相が6月に発表した温暖化の総合対策「福田ビジョン」で表明。7月に閣議決定した「低炭素社会づくり行動計画」に盛り込んだ。

 実験に企業は原則的に自主参加する。京都議定書が課す目標達成のために業界が定めている自主行動計画に基づき、温暖化ガスの排出上限を自主的に設定することを検討している。排出上限より下回って削減できた場合は、余剰分を排出枠として売却でき、上回った場合は他企業などから購入し補てんする仕組みだ。達成すれば自主行動計画に反映できる。

日経新聞

 環境省は9日、温室効果ガスの排出削減に取り組む事業所が自主的に参加する「国内排出量取引制度」第2期(07年4月~今年3月)の実績を公表した。取引件数は51件で、二酸化炭素1トン当たりの平均取引単価はほぼ前期(06年4月~07年3月)並みの1250円。排出の合計は目標の19%減を6ポイント上回る25%減を達成。同省は「この仕組みが排出抑制の動機付けになることが確認できた」としている。

 同制度は過去3カ年の排出量の平均を基準にして目標値を設定し、過不足分を売買する。同省から排出量を少なくするための設備費補助を受けた場合、取引後も目標を達成できなければ、補助金を返還しなければならない。

 同省によると、参加61社中16社は排出量が目標を超えてしまったが、排出権の売買で全参加者が目標を達成した。取引件数は前期より27件増えたが、取引量は前期比2万7981トン減の5万4643トン。前期よりも小規模な事業所が多く、小口の取引が多かったためという。取引総額は約7000万円だった。

 政府は10月から排出量取引の国内統合市場を試行する予定で、同省は現在の自主参加型取引制度の活用を提案している。

毎日新聞

 日本鉄鋼連盟は8日、10月にも温暖化対策として政府が実施する国内排出量取引の大規模実証実験に参加する方針を固めた。既に経産省など関係省庁にも、参加の意思を伝えた模様。鉄鋼業界は電力会社とならぶ温室効果ガスの大口排出事業者で、これまでは排出量取引に慎重な姿勢を見せていたが、経産省から強く参加を求められたことや、実際に参加することで制度の実効性の問題点などを把握できると判断し、従来の方針を転換した。
 鉄連ではこれまで「キャップ(排出量上限)を決めて取引するなら、いろいろな問題が出る」(宗岡正二会長=新日本製鉄社長)と指摘し、「制度の中身を見てから、態度を決める。今のところ参加するかどうかは未定」としていた。
日刊工業新聞

 政府は、地球温暖化対策として10月からの試行を目指す排出量取引制度で、家庭や農林業、公共施設などの温室効果ガスの排出削減分も取引の対象とする方向で検討していることが分かった。制度への参加者のすそ野を広げ、「国民参加型」で二酸化炭素などの排出削減の取り組みを促す。

 経済産業省は、排出量取引の試行に向けて「国内クレジット制度」の検討を進めている。この制度は、主に中小企業が省エネ技術の導入などで削減したCO2排出量を第三者機関が認証し、大企業が買い取って自らの排出削減分に加える仕組み。経産省は排出量取引に幅広い参加者を取り込むために、この制度を家庭、農業、公共施設などにも適用することにした。例えば、電球などで省エネ性能の高い製品が一定量家庭に普及した場合、想定される製品の使用時間などを基に見込まれるCO2排出削減量を認定。製品を生産した工場や販売した小売店単位などでまとめたものを、取引できるようにする。またビニールハウスで燃料を多く使う農業や、重油を利用するクリーニング店などでも省エネを進め、排出削減分を取引対象とすることを検討している。政府は排出量取引の試行に際して、企業がさまざまな種類の排出量を取引できる統合市場の創設を目指している。

 クレジット制度で中小企業や家庭から生み出された排出削減量も取引対象とする。これまで、国内のCO2排出量削減は大企業を中心に、自主目標を設定することで進められてきた。一方で、家庭や事業所などの排出量は増加傾向にあり、排出量取引の対象に加えることで省エネ意欲を高め、排出削減を促す。

毎日新聞

 

 

EB 第41回会議 レポート

 

 

 

今回のEB41 会議では、審査を受けるプロジェクトは中国のものが最多である。初回審査プロジェクトは22件、再審査プロジェクトは7件、発行初審査プロジェクトは2件である。また、条件付の登録プロジェクトについて再度審査が要求された。政策面では、今回の会議では、検証と認証、プロジェクトの開始時間の定義(プロジェクト審査に与える影響大)、プロジェクト開始前に、「真剣にCDMの収益を考慮した」というエビデンス、プロジェクト関係者の連絡方法、方法論、DOEの委任問題等について議論された。

 

 

  主 要 議 題 

 

 

1、   「プロジェクト開始時期」の定義

 

本会議では新たにプロジェクトの開始時期の定義に関し議論がなされた。その定義とは、「プロジェクトにおいて実質的な行動(投資等)がとられた状態」を「開始」という。例えば、設備購入協議、工事契約など,これらの行動のうちで最も早い時期を基準とする。プロジェクト開始前の費用、例えば、FS調査などは全て投資分析コストに入れることができる。この新しい定義は、プロジェクトの事実確認プロセスや、PDD開発などもっと便利に実行でき、非常に役立つだろう。

 

 

2、   工事再開時におけるプロジェクトの投資分析の計算方法

 

プロジェクト工事を開始する際にCDM収益を考慮せず、その後様々な原因によって工事を停止するようなケースにおいて、その後CDM収益を考慮し工事再開するようなプロジェクトについては、その開始時期を、「CDM収益を考慮した後、工事を再開する時期」とする。それ以前に発生する費用は、投資分析コストに入らない。ただし、プロジェクトが既に投資され、有形資産になった場合は、公認の専門家によって評価され、具体的な価値が付けられ、この部分の価値は投資分析コストに入れることができる。この決定は中国の一部の同種のプロジェクトを救ったであろう。

 

 

3、   CDM収益の考慮」を証明するエビデンス

 

200891日から開始するプロジェクトは新プロジェクト、その前に開始したプロジェクトは当面のプロジェクトと見なす。新プロジェクトに対して、事業者は必ず工事開始後6ヶ月以内にそのプロジェクトをCDMプロジェクトとみなすことを、その国のDNAあるいはUNFCCC事務局に通告しなければなりない。この通告が、「プロジェクト開始前にCDM収益が考慮され、プロジェクトがスタートした」旨のエビデンスとなる。DOEはプロジェクトを審査する際に、DNAUNFCCC事務局にこのエビデンスを確認する必要がある。当面のプロジェクトについては、二つのエビデンスが必要である。ひとつは「プロジェクト事業者がプロジェクトをCDMプロジェクトにする決定を出した理事会会議紀要あるいは類似ファイル」で、もう一つは、「事業者とCDM開発者間で結ばれたCDM(コンサルタント)サービス契約、あるいはCER売買契約などの類似ファイル」である。この決定は、今まで事業者、CDM開発者及びDOEがずっと議論してきた問題―『プロジェクト前にCDM収益をいかに考慮し、問題を完全に解決できるだろうか。』―という議論であり、であるならば、プロジェクトの開発と審査などのプロセスをスムーズにすることで促進ができるだろう。

 

 

4、   UNFCCC事務局及びDOEによる、プロジェクト審査期間の長期化

 

審査した結果、事務局のコンプリートネス・チェックに関するワークタイム表が通った。こうすると事務局の仕事を引き延ばす問題を根本的に改善できるだろう。現在、事務局はプロジェクト登録料納入後30working days以内に登録のコンプリートネス・チェックを終えねばならない。また、DOEの意見提出時間に関する問題について会議で議論された。DOEと対話する際、まずDOE自身がタイム表を決めることが要求された。DOE自身がタイム表を作らない場合は、EBはタイム表を規定する。これはDOE審査のスピードを大きく促進するだろう。

 

 

5、   検証と認証メニュー(VVM

 

このメニューは検証・認証段階のプロジェクトに大きな影響を及ぼし、検証と認証のスピードアップにもつながるだろう。非常に複雑で、今回3分の1しか討論できず、次回会議中に討論を終え、その結果を公布・執行する予定である。

 

 

6、    他の重要な論点

 

(1)「EBメンバーの行動規範」、(2)「EBメンバーの特権及び免除」、(3)「現在方法論AM0001での、HFC23排除率0.5の問題」、(4)「プロジェクト関係者とEBの間の連絡方法」などがある。

 

(1)、「EBメンバーの行動規範」は次の会議で引き続き討論される。

 

(2)、「EBメンバーの特権と免除問題」については、問題が解決できず、メンバーたちがプロジェクトに不利な決定を下す時には、関連機関に訴えられることを恐れている。従ってメンバーの多くは国連職員のような特権や免除をといった権利を要求している。しかし、この問題はすぐには解決できるものではない。

 

(3)、「現在方法論AM0001での、HFC23排除率0.5の問題」。あるNGOEB手紙を出し、AM0001方法論の中のHFC23の排除率を現在の最も高い3%から0.5%に減らすべきだと要求した。しかし、EBはこれに対して激しい議論を交わし、最後にはエビデンス不足を理由に、「もしこの排除率を減らすべきエビデンスがあれば、EBに提供しなさい」との返答をした。この問題は中国のHFC23プロジェクトに大きな影響が及ぼすことになるだろう。

 

(4)、「関係者の連絡方法」については、国内の多くの機関や企業は重視していない。

ところが、この問題は非常に重要であり、上手く処理できなければ多国間訴訟を引き起こす可能性が高くなる。一部のプロジェクトが既にこのような問題を起こしEBは次回の会議では具体的な指針を出すのであろう。

 

 

7、5つのDOEが事業開始一年以内のプロジェクトしか審査しない問題

 

 DOEと対話し、EB内部にて討論がなされた際、この問題に対して皆強く反対を示し、DOEのこの誤ったやり方を改善することが要求された。EBの最終レポートには、いくつかのDOEのこのようなやり方に非常に注目し、DOECDMを実行する規則を制定する権利を有するのはEBだけであり、DOEEBが制定した規則を実行するだけで、自ら規則を制定することはできないとの考えが示された。この決定はEBから5つのDOEに対する正式的な回答であり、結果、これらのDOEたちのやり方に対して同意しないということが明らかになった。

 

 

8、中国プロジェクトの審査結果

 

(1)      登録初審査のプロジェクト:  

22件の登録初審査プロジェクトの中、6件のプロジェクトは条件付きの登録となった。この6件のプロジェクトは新たに関連ファイルを提出する必要がある。関連する機関及びそのDOEはファイルを提出しないと、再審査になる可能性が高い。

 

そのほかの16件のプロジェクトは再審査になった。その理由として主に3種類の問題がある。

一つ目はACM0004方法論のベースラインを限定する時、プロジェクト周期内では固定電力価格だけを考慮している。再審査では、その固定電力価額は合理的かどうか、もし、将来の電力価額が予測できない場合でも、その理由を説明する必要がある。実際、Mr. Xuedu Luが何度も求めた結果、EBは、「電力価格が変化する状況の下で電力を購入するシナリオを分析し、プロジェクトシナリオと関連する要因(例えば、管理と運営コスト)も変化する状況の下で、二つのシナリオの現在価値(NPV)の比較関係が依然として変わらないということが証明できれば、グリットから電力を購入するのがベースラインであるという結論が成立する。」とした。

二つ目は電力業界の基準値ではなく、化学工業あるいはセメント工業などの内部収益率基準値を標準基準値とする。この問題は、PPDOEからもっと詳しい説明を受ける必要がある。これは政府指導ファイルにある規定であり、広く適用される。銀行などの部門もこれによってお金を貸し付けるかどうかを判断する。エビデンスと説明は詳しければ詳しいほどよい。もし、政府部門や銀行部門など権威ある部門のエビデンスがあれば、最も理想的と言えよう。

三つ目は、余熱、余圧、廃ガスなどの価格確定の合理性、企業内部収益率を基準収益率にする信頼性、バリア分析の説得力が弱いなどである。関連する機関はこれらの問題を迅速に回答するとともに、十分、且つ信頼性があり、さらにエビデンスと一致する説明が必要である。

 

(2)     再審査プロジェクト状況:  

全部で7件の再審査プロジェクトがある。「事業開始、停止、再開」の費用を計算する問題を解決できたため、中国の3つの水力発電プロジェクトは条件付登録となった。条件としては、新しい指針で事業開始前の費用を新たに計算する。それから、プロジェクトの内部収益率は基準収益率を下回るかを計算する。そのほかに、いくつかACM0004方法論に関わる二種類の違うベースラインシナリオで将来の電力価格、運行価格などが変化するとき、ベースラインの選択が変化するか否かの論点であり、これは、(1)に説明した内容と同一である。この7つのプロジェクトは条件付登録が出来たが、最後一回のチャンスしかなく、もし、EBへの回答が完璧でなかったら却下される結果になるしかない。だからこそ、PPDOEはこの唯一の機会を十分に重要視しなければならない。12週以内に回答すればいいため、充分な準備時間があるだろう。

 

(3)     発行審査:

二つの発行審査プロジェクトが承認をもらった。特に注意すべきなのが、ある国ではすでに批准したモニタリング計画にそってモニタリングしていない例がみられる。例えば、発電量のモニタリング頻度を勝手に変更し(毎時間から毎日に)、メーターに対するモニタリングも要求に沿っていない(毎年一回から六年一回に)などといったことである。EBはこのような行為が見受けられるプロジェクトが獲得した排出削減量を大幅に減らす、或いは発行を拒否することさえ有り得る。 

 

(4)     初審査条件付後に再審査に入るプロジェクト

今回の会議では、3件の過去に承認を受けた条件付プロジェクトが再審査を受けた。中には、中国江蘇のプロジェクトも含まれる。このプロジェクトの主要な問題も、上で述べたACM0004方法論に関わる二種類のベースラインシナリオの比較問題が含まれる。

 

このような結果を手に入れるのは生易しいことではない。いくつかのプロジェクト審査に関する重要な問題は明確な指針が出されて、実行するのも便利になるであろう。指針を討論するプロセスは困難であり、再開するプロジェクトの費用の計算問題、プロジェクト開始の定義、及び「真剣にCDM収益を考慮する」有効なエビデンスなど。7つの再審査プロジェクトの通過も容易ものではない。